断絶覚え書き

書いたり書かなかったり

才能だの自己肯定感だの

ここ最近自分を鼓舞するように、努めて自己評価を高くするようにしている。

Twitterでもそんな風なことをたくさん言って自分を塗り固めている。

 

さて、僕は基本的に何不自由なく生きてきた。個人的にお金に困ることは幾度となくあったけど、大きなスケールで困ったことは一度もない。幼少期の虐待や、いじめ、学生時代のつらい経験、そういうのを一切経験していない。

加えて僕には特筆した才能が一つもない。才能というと驕りに聞こえるかもしれないけれど、人生の中で何か必要に迫られることがなかったし何かに縋る必要もなかった。

母親の子宮から飛び出した、その慣性の法則のまま28年間を生きてきてしまった。

 

ふと気づく。ポケットに何も入ってないなって。「僕は何もない人間なんだ」と嘆くつもりはなくて、淡々と自分の中だけでも胸を張って言える「僕はこれができます。これが好きです。」が一つもないことに気が付いた。

 

最近文芸系統の同人誌や雑誌を縁があってよく目にする。「こんなすごいのにまだアマチュアなの?」と驚くことばかりだ。年齢もそんなに変わらなかったりすると一層打ちのめされた気分になる。急に僕の吐く言葉すべてが陳腐なものに思えてきておいそれと口を開けなくなる。

 

おそらく多くの人がこんな感じなんだと思う。胸を張って「これが好きです!これができます!」といえる人は明らかに少数派だと思う。でも、それでも、そう言い切れる人は僕から見るととてもまぶしく見える。

 

 

僕は単純だ。豚もおだてりゃ~じゃないけど、褒められたら素直に喜ぶし、そうなんじゃないかと信じる。けど、大人になって褒められることなんてそうそうない。そもそもあんまり褒められたことがない。そこで生前の祖父の言葉を思い出した。祖父はことあるごとに「僕はね。優しい人間だよ。」と言っており、僕の「おじいちゃん、それ自分でいうやつじゃないよ。」というセリフに「誰も褒めてくれないから自分で褒めるんだよ。」と目を細めていた。

そうなんだよね。誰も褒めてくれないなら自分で褒めるしかない。自分でおだてるしかない。もしかしたら最初はなじまないかもしれないけれど、何度も言っていくうちにそうなっちゃうかもしれない。

もしかしたら僕は気づいてないだけでポケットに色々入ってるのかもしれない。