断絶覚え書き

書いたり書かなかったり

JOKERの感想

さて、ようやく観てきました。JOKER。

感想書こうと思いますけど、まず情報量が多すぎてちょっといまだに整理仕切れてない部分もありますし、ネタバレするので悪しからず。

 

まず、映画としてなんですけど、めちゃめちゃスッキリする話でした。とにかく僕はスッキリする話じゃないと体が受け付けないのでもう最高でした。文句ないベストオブスッキリ。スッキリしたい人は観てください。スッキリできます。

「コイツやなやつだなぁ。」と思った5分後にはだいたい死んでる。序盤は主人公アーサーの苦悩のパートなのでなかなか前に進まないですけどラスト1時間はすんげぇスッキリするくらい死んでいきます。

 

で、前評判をさんざ聞かされて観に行ったんです。Twitterで散見したのが「誰しもがジョーカーになりうる」といった内容。

これ、僕はあんまりそうは思わなかったです。というかね、それ言い出したらなんでもそうじゃん。っていう。

とどのつまり環境なんだと思います。主人公は持病から不遇な環境を強いられますが、周りの環境もそれなりに悪く、貧困層の不満が今にもはち切れそうな、そんな環境。

1980〜1990年前半のニューヨークをモデルにしていることもあってそのあたりの描写は非常にリアルでした。そういう複雑な要因が絡み合って偶然が偶然を呼び、ジョーカーというある種の特異点を生み出したわけです。誰しもがそんなことなるかよ。なぁ?

 

僕はそれよりもアーサーの心理描写のパートの方が興味深かったし、「本当にそれ。マジで。」という場面が非常に多かったです。

劇中に「心の病を抱えているものにとって最悪なことは『世間の目』だ。それらはいつも『普通にしていろ。』と強要してくる。」というセリフがあります。

これはアーサー自身がネタ帳に書く文章なのですが、後半の部分は利き手でない左手で書きます。これがね、言いようもない苦悩を見事に表している。そんな風に僕は思えました。もしかしたら何か意図とか元ネタとかあるのかもしれないんですけど、僕にはわかりませんでした。

他にも「黙っていい子にしてろ。」というセリフなんかもありました。

作品を通じて、「普通」という圧力が彼、そして観客を抑えつけます。

「普通」でない当事者である僕はとにかく「きっついよなぁ。辛いよなぁ。わかるなぁ。」とアーサーに自己投影してしまいました。

おそらく先に挙げた「全人類ジョーカー化」を考えた人たちも共感したんだと思います。これは別に僕のような少しおかしい人間じゃなくても多かれ少なかれ人生やってたら感じるものなんじゃないかな。そこを刺激されたんだと思う。

 

物語中盤でアーサーは殺人を犯します。こっからです。すんごいのは。

アーサーは世界での存在証明としての道具、ないしやりきれないはけ口としてベストアンサーを見つけるわけです。「殺しちゃえばいいんだ。」と。

R15なのは残虐なシーンだからじゃないと思いました。分別つかない子供がこれ見ると感化されて身近に銃があるアメリカなんかだと模倣犯が出かねないからだと思います。

なんにせよ前半の苦悩を吹き飛ばすような勢いで自分の中のわだかまりを殺人によって解消していくアーサー。

劇中で描かれていない幼少期からピエロになるまでの人生を鑑みるとあまりにも急展開です。

これはね、殺人じゃなくてもみんなありうるな。とそんな風に思いました。

以前少し書いたことがあるんですが、自分の中の怪物が大きくなる感覚。まさしくジョーカーそのものです。

年を重ねるごとに他人に鈍感になっていく怪物。どんどん我を通さんとする怪物。飛び抜けた偶像としてジョーカーはあまりにぴったりで少し恐ろしくもあります。

 

うーん。まだまだいっぱい書くことありそうだけど、全然整理できてないのでこの辺りにしておこうかと思います。

観た人と話すともう少しいろんな思案が出てきそうですけど、パッと思いついたのはこれくらいです。

 

あ、あとね、僕はあんまりジッとしていられない性質なのでエンドロール途中で出ちゃうんです。でも、まぁよくあるじゃないですか。なんかほのめかす映像が流れたりするやつ。JOKERはね無かったです。なので、もし僕と同じようにソワソワしちゃう口の人は迷惑にならないようにこっそり抜けてもいいと思います。本当はエンドロールまできっちり観た方がいいんですけどね。

 

それくらい。僕が今言いたいことは。